Reスタート sied彼

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Reスタート sied彼

彼に会えるからか今までにないくらいに心臓がバクバクとなっている。自分が自分じゃないみたい、会えると思ったら気持ちが焦って自然に早歩きになる。てか、これもう俺走ってね? 電話は正直断られると思っていたから、彼から電話がかかってきた時は息が詰まりそうだった。その後、声を聞いて、抑えることができなかった。 そのまま出てきたけど、俺服装大丈夫?彼がまだ来てないのを確認して、公園近くに止まっている車のミラーで確認する。鏡に移った自分を見て、つい笑ってしまった。 息が上がって、肩が大きく上下している。 髪型だって崩れて、俺の形相は必死そのものだった。だっせぇ、さすがにこれはダサい。俺こんなキャラだっけ?童貞か? 深呼吸をしながらベンチに座り、落ち着いて彼を待とうとするが、1秒が胸を高鳴らせてじっとしている事が難しい。 あぁ、相手を待つって、こんな感情なんだ。 今まで待たせてきた相手の顔が薄らと脳裏に過ぎる。待たせて置くなんて普通だった。会いたいと言われてもじゃあくれば?ってそんなけ、だって俺は別にどっちでもいい。 来るもの拒まず、去るもの追わず。 めんどくさいじゃん、駆け引きとか疲れるし。 そんなスタンスだったのに、今は全くの逆だ。 会うのを彼にお預けされて、いい子に大人しく待って、走って会いに来るなんて、いつの間に主従関係逆転したのよ。お前俺のわんこになりたいって言ってたじゃん、俺は犬になる趣味無いはずなんだけど、 「おう。」 後ろから彼の声が聞こえて、振り返る。 目の前に立っている彼がアイスを手渡してきた。 耳が赤くなってるのが分かる、何そのアイス、最初何話せばいいか分かんないから買ったの?それともこれまでのお詫び?なんでもいいけど、目、見れてないよ。 ぶっきらぼうにアイスを突き出してくる彼が愛おしい。 照れて視線を外す所とか、不機嫌っぽくなるところとか。何かが心の中から溢れてきて零れそうになる。俺は衝動を抑え切れずに、差し出している彼の片手を引っ張って抱き寄せた。 温度がじんわりと伝わってくる。俺より10センチほど低い身長、柑橘系の匂い、温度、懐かしくて、全てが愛おしい。自然に力がこもって腕の中で悲鳴が聞こえる。 「苦しいって、」 耳元で彼が笑うと俺の感情は止まらなくなった。 あー、なんだこれ。 「これ泣くわ。」 そう言って彼の肩に顔を、埋める。 懐かしい匂いが鼻に伝わって完全に逆効果だ。 「会いたかった。」 彼が小さな声で呟く。 彼と離れてから自分の気持ちを痛いくらいに感じた。 俺は彼に夢中だ。最初は居心地いいという適当な理由、何となく取られたくない、手放したくないというエゴから。それから彼の面倒くささがどんどん可愛く思えて、気づいたら好きになっていた。意味の分からない思考回路も、すぐ暴れるところも、ツボが浅くてアホみたいに笑って、喧嘩弱いのに口だけは威勢いいところとか、全部。全部かわいい。 「あのー、ちょっと苦しいかも。笑」 彼が俺の背中を優しく叩く。 「むり、」 何が?この状況が。 お前が隣にいることが当たり前じゃなくなって、俺はおかしいくらいに君に支配されてしまった。 この1ヶ月どれだけお前のことを考えたか知ってる?この日をどれだけ待ち望んだか、お前はきっと分からない。だって、お前の中の俺はそうゆう奴。 誰にも本気にならなくて、沢山の人に愛される自分が大好き。そんな感じ? 全然違うけど、そうゆう俺が好きなら演じてあげる。正直ずっとこの感情に混乱してた。恋?愛?俺男もいけるんだ、それとも彼だけ?でも、そんなん何だっていいか。 だってもう戻れないよ、彼を手放せれない。 「ねぇ、もう一度俺と付き合って。」 「うん。」 彼の瞳が潤って、そっと唇に柔らかい感触が伝わる。目を瞑るのが勿体なくて、開けたま。 溢れてくる好きが止まらなくて、伝える手段がないのが焦れったい。お互いの熱い息が肌に触れ合って、全部がどろどろに溶けあう。自分を止めることが出来なくて、夢中に彼を貪った。 カッコつけたいなんて、そんな余裕1ミリもない。 彼に、落ちていく。 ほら、だから言ったじゃん。 こいつはいつか爆発するよって、持ってたら危険なんだって。 俺の中で爆発して、受け止めるつもりが溢れ出てしまって、俺がおかしくなっちゃったみたい。 1日中お前の事しか考えられなくて、ねぇ、どうしようか? 俺はいつの間にか侵されていたんだ。 脆くて危険で、そして美しい 彼というウイルスに。 END
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