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「まぁた、歴史にまつわる本ですか?
哲夫さん、本当に歴史好きですね」
「しょうがないだろ。
正しい歴史を知ってないと、ネット上で反論出来ないんだからよ。
そういうお前も、アニメか何かのムックを読んでるじゃねえかよ」
「この間、Twitterで『にわか』って言われたから、ちょっと勉強しようと思って」
「アレ、哲夫さんとヒロシさんじゃないですか?」
俺とヒロシが話し合っていたその時、今度は会社の同僚の葉月が搭乗し、俺達二人の座席の隣に座った。
「お前も当選したのか。
しかし、このプロジェクト。
一体どういう基準で、当選してるんだろうな」
「菅田首相からのご褒美じゃない?
私達、頑張って仕事してるっていうのに全く報われてないし、多分それをマイナンバーカードで知った国が当選させてくれたんだよ」
言い終えた葉月は、スマートフォンを取り出すと、映し出された画像に対して舌打ちをする。
「また葉月さん、キラキラ女子のインスタを見てキレてる……。おーこわ」
小声で俺に耳打ちしたヒロシが肩をすくめると、飛行機が離陸の旨を告げた。
俺を含む全ての乗客がシートベルトをすると、離陸した飛行機は太平洋にある「クリーンアイランド」に向けて大空を切り分けて進んでいった。
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