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商店街の中ほど、ひっそりと佇む古書店のドアの前に、銀色の猫がいた。
あとで聞いたところによるとサバトラと呼ぶそうで、縞模様もある。緑色の目はまるっきり硝子玉のようで、奇跡のような色合いをしていた。
穂高はしばらく猫と見つめ合っていたが、ふいっと猫の方が視線を外す。ゆっくりと、典雅ともいえる動作で身を捩り、大きく伸びをした。
あっ、と声を上げる間もなく、猫はするりとドアの中に姿を消した。全体的に飴色の店先に無造作にワゴンが置かれ、ひと山いくらの野菜のようにかつての話題作が並んでいる。ドアの上を見上げれば、いつから掛かっているものか、燻された■■古書店の看板が掲げられていた。
穂高は寸の間、躊躇ったあと、そっと扉に手を掛けた。
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