2人が本棚に入れています
本棚に追加
★★★ 1日目(キャリーの紹介)
「ねえ、コタロー、そっちの大学生活はどうなの?」
「どうなのって言われても、ヒナの所と一緒さ。コロナのせいでずっとオンライン授業ばっかり」
「だよねえ~」
一カ月前、大学一年生になったばかりの幸太郎と雛子が、ビデオ通話で、変化のない近況を知らせあっていた。
二人は、同じ北海道の道立高校を卒業し、幸太郎は新宿の大学に、雛子は横浜の大学に進学していた。
いつも通り、新しい出来事は皆無で、お互い盛り上がる話題もないだろうと思っていたが、ヒナがパソコンの画面をよく見ると、コタローの背後に映っているちゃぶ台の上に、手乗りサイズの人形が立っていた。
「コタロー、それ何?」ヒナがパソコン画面上の人形を指差す。
「あのさ、いつも言ってるけど、ビデオ通話で指差されてもわかんないよ」
「それ、それ。ちゃぶ台の上にあるヤツ」
コタローがピクリと反応する。
最初のコメントを投稿しよう!