美少女フィギュアを購入したコタローと、それを見ているヒナちゃんのお話

「紹介するよ。彼女、名前はキャリーっていうんだ。アニメのキャラクターで、吸血鬼と人間のハーフで、性格はちょっとツンデレだけど、とても一途で純粋。髪型は御覧の通りボブで、動きも活動的。好きな飲み物はトマトジュースで、好きな色は赤色。あと、男の子には厳しいけど、可愛い女の子にはとても優しくて協力的で、それから……」

パソコン画面の中では、フィギュアの横にコタローの顔がアップで写り、丁寧で詳細な解説が長々と続く。

ヒナは、ウンウンと頷きながら、コタローの顔ばかり見ていた。
フィギュアなんてどうでもいいんだけどなあ。でも悪くない。
コタローの楽しいそうな顔が、パソコンの画面いっぱいにあることがうれしかった。

自分とコタローの進学先が決まった時、関東の地理をよく理解せず、新宿と横浜なんて頑張ればママチャリで気軽に行けるくらいの距離だと思って喜んでいた。