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気がつくと、先ず白さを感じた。覚醒途中の眼がその純一無雑な色を感じ取る。そして布団から感じるふあふあ。
もぞもぞとイモムシのように身体を伸ばして、起き上がる。肩まで伸びた髪を手櫛で纏める。栗色の癖毛は指先に絡まって不愉快だ。包まっていた毛布をどこかへ跳ねてしまったみたい。けど、不思議と寒くない。
俯きながら目をこする。あひる座りをする太ももをぼーっと眺めた。あれ、なんか細くなった?なんて思った。そして気付いた、敷布団がない。立ち上がって辺りを見渡す。
私が目を覚ましたここはいつもの部屋ではなかった。
床も壁も天井も全部、真っ白。
広さは私の部屋と同じくらいの4畳半。
驚愕よりもなぜか安心を感じた。目の前の壁に近づいて右手を伸ばす。床と同じでふあふあ。そのまま左頬もくっつけて融けるように身体を寄せて呟く。
「まるで、繭みたい」
おはようございます。
後ろから声が聞こえた。ハッとして振り向くと、白い着物の女の子が立っていた。ボブカットの黒髪は光を反射して天使の輪を作っている。小学校3年生くらいかな?そう思わせる幼い容姿とはうらはらに艶やかな笑みを私に向ける。どこか慈しむような笑顔…、ああ、なんだか、大好きなお姉さんに似ている。
月光に惹かれる蛾のように女の子に歩み寄った。すると白い両袖を重ねて私に挨拶をする。
「つむぎは紡葵と申します。初めまして真癒ちゃん」
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