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「アメリア、心配する必要はないよ。話をしに行くだけだ」 「違うの! ……その、……」 何かを言い掛けたアメリアだったが、言葉を詰まらせ、動揺した目線を右へ左へと揺らした。 ロレンツォは外へ出ると、山小屋を見失わないように玄関のランタンに火を灯した。 吹き荒れる雪の中、誰かの足跡の上を踏みながら、もう一つの山小屋を目指した。 ロレンツォが思っていた以上に天候は悪く、長年の経験上、吹雪が収まる様子は見えなかった。血迷い掛けていたカイルの手前、その事実は伏せていたが、頬に触れる雪の冷たさがロレンツォの不安を底から突き刺すように降り注いでいた。 カイルには「分け合えばいい」と話したが、この状況は分け合えば互いに死んでしまう恐れがあった。 ロレンツォの心は既に決まっていた。 彼らから食料を盗み返す。 そうしなければ、この吹雪を生き残れない事を察していた。 相手の足跡を辿って山小屋に辿り着いた。時間にすると10分も掛からなかった。 山小屋の玄関にはランタンが火を灯して揺れていたが中は暗かった。 ロレンツォは意を決して、扉を開けた。出来るだけ音を立てずにそっと、ドアノブを捻った。
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