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「ロレンツォ! 戻ったのか!?」 ドアを開けた先にはカイルがいた。その奥の暖炉のそばには身体を震わせるアメリアの姿があった。 ロレンツォは戸惑った。後ろを振り返り、来た道を脳裏に思い起こした。あの吹雪の中、方向を間違えた覚えは無かった。 ロレンツォは確かに自分の足で、相手の足跡を踏んでここまで来たのだ。間違えるはずがなかった。 「どうだった? 食料は手に入ったのか?」 「……いや、それが……」ロレンツォは言葉を失った。自身の身に起きている状況が飲み込めていなかった。 「ロレンツォ、お前裏手から出て行ったよな? 何で正面から戻って来たんだ? いつ回り込んだ?」 「え?」 カイルは山小屋の裏口を指さした。 裏口の扉の床は雪が入り込み、濡れていた。 しかし、ロレンツォの記憶では山小屋の正面玄関から外へ出たはずだった。 奇妙な状況に、ロレンツォは頭を抱えた。 「すまない。説明してくれるか? 少し、気が動転している」 「どうしたんだ? 山小屋の連中に何かされたのか?」 カイルはロレンツォを気遣ってホットココアをカップに注いで手渡した。 「俺は、裏口から外に出たのか?」 「ああ、裏口の扉の先に足跡が続いていたからだ。その先に山小屋が見えたんだ」 「山小屋が??」 ロレンツォは裏口の付近の窓から外を眺めた。 窓から見える外の景色はロレンツォには異様な光景だった。身に覚えのない足跡と、その先にはもう一つの山小屋が薄らと見えていた。 「……どうなってるんだ??」 ロレンツォは正面玄関側の窓を確かめた。自分が歩いて来た足跡があり、その先には灯りの付いた山小屋があった。 「カイル。あの山小屋が見えるか?」 ロレンツォはカイルを呼び、自分が歩いて来た山小屋を指さした。 「どうなってんだ? 向こうにも山小屋が?」 カイルは目を擦ってもう一度窓を見た。 「さっきまで見えなかった。他にも小屋があるなんて」 困惑するカイルにロレンツォは言った。 「俺は、あそこから来たんだ。足跡を辿って」
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