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翌朝―――。
陸に上がり、教会で育てられたエルシェットの朝は早い。
朝の祈りをするために、夜明けと共に目を覚ましたエルシェットは傍らに寝ているはずのフランツがいないことに気付いた。
そういえば、昨日ものすごくうなされていたっけ。よく眠れたかしら?
心配になって起き上がると、フランツは仕事に行こうと玄関で靴を履いているところだった。
「おはよう、フランツ。」
背中に声をかけると、フランツがふり返る。その顔はかつて見たことが無いほど、いきいきと輝いていた。
朝日にスキンヘッドを煌めかせて、フランツは笑顔で言う。
「エル、俺、クジラを捕ってくるよ。」
謎の宣言を残すと、フランツは家を後にする。
枕元には空になった小瓶がそのままになっていた。
「……効きすぎちゃったかしら……?」
一人残ったエルシェットは呆然と呟くのだった。
―――HAPPY END―――
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