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帰って行くみんなを兄貴と見送って家に入る。
「お帰り!みんな帰ったの?もー制服くらい着替えてからバスケやり……って、もと!血が付いてるじゃない!早く脱いで!」
玄関に出て来た母さんは慌てて俺の学ランを引っ張った。
白シャツのボタンも外してシャツまで剥ぎ取られる。
「さっむっ!何すんだよ!」
靴を脱ぎながらブルッと震えると
「早く手洗ってうがいして、顔も洗いなさい!凄い顔してるわよ!寒いなら早くする!ほら!」
洗面所の方に背中を押されて俺はパタパタと走った。
鏡に写った顔を見てうへぇっと苦笑いをする。
鼻の周りが血だらけでめちゃくちゃ間抜け面をしていた。
手で押さえていたからまだマシだろうけど……情けね。
彩織さんの前であんなことになったのがちょっとショックだった。
ちっちゃくて(俺よりは大きいけど)優しくて、バスケも上手くて、美人……あんな完璧な人居るか?
いや、絶対居ない!
彩織さん……次はいつ会えるかな……。
彩織さんの笑顔を思い出してニヤける顔を鏡で見てしまって……俺は1人で恥ずかしくなる。
鏡に背を向けてため息を吐いて……
「っくしょっ!」
まだ上をちゃんと着ていなかったことを思い出して、俺は両腕を擦りながら急いで階段を上った。
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