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本当に私の望み?
「では、あのお酒は毒だったと言われるのですか?」
「はい、ユイ王女殿下。それで確かにあの小瓶はアン王女殿下から?」
「それは……」
「ご心配なさらず。ユイ王女殿下がなんと答えられようと、もうすでに証言は取れております。アン王女殿下は王位継承権を剥奪され、処刑される事に決まりました」
「お姉様が……処刑? 幽閉などではなく? いけません! お姉様を助けてください!」
「議会の可決済みです。アン王女殿下は王と王太子を殺害しただけでなく、その罪を次期王妃に被せようとされたのです、どんな助命嘆願も聞きません」
「ですが! あのお酒をお父様達に飲ませてしまったのは私です。罪の一端は私に!」
軟禁されていた私の部屋にやって来た首相は首を横にふった。
「ユイ王女殿下、いいえ。ユイ国王陛下。お姉様を庇おうとされなくて結構ですよ。あの毒を飲んでいたのは陛下だったかもしれないのですから」
「陛下?」
望んでいた称号だったけれど、その名は酷く軽かった。
「この書類にサインを。アン殿下の処刑はユイ陛下の戴冠式の後になります」
「血塗られた王冠」
「はて。何かおっしゃいましたか?」
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