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プロローグ ~スーパームーン~
──自分以外の誰かに転生したいと思ったこと。ありませんか?
転生。
そんなもの、おとぎ話やファンタジーの世界だけのご都合主義だ。
現実にはあり得ない。そう、思っていた。
「そんな貴方に嬉しいお知らせです!」
黒髪にマントの若い男は大層嬉しそうに言う。
「この仮面を付けると死後、好きな死体に転生する事が出来ます」
そんな都合のいい魔法の様な仮面、あるはずない。
「貴方は初めてのお客様ですからね。特別サービスで無料にしますよ!」
絶対に怪しい。直感で思っているのに。
「さぁ、契約しますか?」
欲しくて、欲しくてたまらない。これが──これさえあれば。
最期に見た父の姿は、叶わない夢を実現させてくれる仮面を付けているところだった。
あれが、悪魔との契約だなんて。
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