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一八九三年。コンセルタ家にて。
コンセルタ家は家業で農業を営む、ごく一般的な家庭だった。
父、母、三人の子供たちの五人家族。
決して裕福とは言えないが、ささやかな幸せがあった。
「……お母さん!?」
母が、病気で倒れるまでは。
病気で倒れた母は、以降寝たきりの生活を送る事になった。
医学では治せない原因不明の病魔に蝕まれて、日に日に弱っていくだけだった。
「お母さん……死んじゃうのかな」
「そんなわけないだろ!」
「大丈夫だって!」
兄弟たちは皆、寂しかった。母が居なくなってしまうのでは。と案じていた。
父も察していた。なんとか模索していた。母の命を救う方法を。
そして手を出してしまった──悪魔との、禁断の契りに。
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