7.バックムーン

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昼間に食べかけていたパンとハムのステーキをフランは調理していた。 季節が季節であったが、幸い、冷やしていたから痛んではいない。 温かみを失ったハムのステーキをドレッシングと細かく刻んだ玉ねぎと葉物野菜と和え、パンに挟みこむ。 残り物サンドウィッチの完成だ。 フランは我ながら良いリメイクをしたものだと悦に浸り、サンドウィッチをリュクレーヌの元に運んだ。 だが、リュクレーヌはというと、上の空と言ったところだろうか、ぼんやりとしていた。 何か、考え事をしているように。 「リュクレーヌ。何を考え込んでるの?」 「……いや、マスカはどうして二人を生かしたんだろうなって」 「あぁ、クレアたちの事?」 リュクレーヌの頭にあったのは、クレアの語った過去。 なぜマスカは逃げたのか。 「アマラもいない、ルーナエも関与していない……となるとファントムの仕業としか思えないんだよな」 「……ファントムが」 「わざわざ、二人を生かす義理があるのか……?分からねぇな」 「ううん……あ、そういえば」 推理の足しになるかは分からないけど、と躊躇するようにフランが付け加える。
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