7.バックムーン

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「ファントム、僕を殺した時すごく嬉しそうだったんだよね……僕が、絶望する表情を愉しむように」 「……絶望、か」 「そういえば、初めて僕たちがファントムに逢った時……そんな正義感要らないって言っていた気がするんだよね」 三月。クロッカスの花畑で二人がファントムに遭遇した時、彼は復讐鬼となったマスカに対して言った。 「正義感なんてものは要らない」と。 「あぁ、そんな事もあったな」 「もしかして……ファントムは人間の負の感情が必要なのかな?」 「負の感情?そんなもんどうするんだよ。腹の足しにもならないぞ」 リュクレーヌがわざとらしく、大口でサンドウィッチをほお張る。 ピンクのダイスのようなハムが今にも零れ落ちそうだ。 「それは、そうだけど……あぁ、考えれば考えるほど分からなくなってくる!」 遂にはフランも頭を抱える。 「この際、ファントムの目的とかはおいておこう」 「それ以外何を話すんだよ」 話題の転換をするも、リュクレーヌはどこか気乗りがしない様子だった。 フランも、暫く「えぇと……」と話題を探す様に唸っていた。 「あ!リュクレーヌ……大変だったんだね」 「思い出したように言うなよ」 「だって……僕、本当にリュクレーヌがただのどこかの金持ちからお金をせしめていると思ったから……」 「あ、資金源の話か。お前、俺を何だと思ってたわけ?」 分からないことが募るからか、リュクレーヌは少し気を悪くしていた。
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