7.バックムーン

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  ◆   あっという間に任務当日となった。 予告の時間は夜だった。 だが、時間はあまりない。フランはすぐさま身支度をする。 普段着なら既に着ていたが、着替える理由があった。 「久しぶり……だなぁ」 いつものラフな普段着を脱ぎ捨て着用するのは、モスグリーンの軍服だった。 それもそのはず、アマラ軍に紛れて任務を行うのに一人だけ私服という訳にはいかないだろう、と軍服はアドミラに支給された予備用のものだった。 久しぶりのアマラ軍の軍服の着心地はすこし重たく感じるが、どこか懐かしさもあった。 共に任務に向かうのであれば、リュクレーヌに「見て見て!」と自慢していたかもしれない。 案の定、口論をしてしまった主は朝からどこかに出かけているようだ。 デスクに目をやると置きっぱなしの日記──もとい、報告書があった。 自分の悪口でも書かれてないだろうか、とフランはそれを手にとり、目を通す。 幸い、陰口の類は書いていなかった。ぱたむと報告書を閉じ、デスク上の分厚い本と共に並べると、フランは現場へと向かった。   午後七時前、アマラ軍本部に到着する。 既に多くのアマラが集まり小隊ごとに本日の作戦会議を行っていた。 そんな中に、友人の姿を見つけた。 「あ……クレア」 「こんばんは。フラン」 クレアは一瞥するように夜の挨拶をした。 やはり、昨日同様にどこか元気がない。 「……やっぱり、リュクレーヌは居ないのね」
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