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リュクレーヌが来るとすればフランと一緒だと思っていた。
今回来たのはフラン一人だけだ。
それは、リュクレーヌが依頼を断った事を意味する。
クレアはすぐさま察して少し悲しそうに俯いた。
「ごめん。僕も説得したんだけど……」
「仕方ないわよ。彼にも断る権利は有るわ」
「だけど……」
クレアとしても、リュクレーヌが自身の意思を尊重するだろうと、どこかで分かっていたようだ。
アドミラによって、意思を、尊厳を踏みにじられたのだ。
その上、お前には頼んでないとも言われる始末。
断っても無理が無いと思っていた。
ただ、いてくれたら頼りだった──と多少なりとも思ってはいたが。
「いくら何でも、薄情だよ……」
フランは俯きながらリュクレーヌの事を非難した。
だが、クレアはそれに同調する事なく、話を切り出す。
「私ね、昨日眠れなかったの」
「え?」
フランは聞き返した。
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