7.バックムーン

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リュクレーヌがクレアの事は何も悪くないと言った。 そこのところは折り合いがつくのだろう。家族であろうと、他人。 クレアとアドミラの事は完全に分けて考えていたようだ。 尤も、自分の弟の事は自分で責任を取るなど言ってしまう男なのだが。 だが、クレアが責めていたのは、自分の存在というよりも、自分が父親を止められなかった事だった。 もっと話を聞いてあげられればよかった。 もっと、冷静でいられるようにすればよかった。 友人を傷つけるような事をする前に── 「ママなら……なんて言ったかしらね」 母親が生きていたなら、その様な父を見て何と言っただろうか。 どうして自分にはその言葉が出なかったのだろうか。 クレアは悔やむ事しか出来なかった。 そんな彼女を見て、フランは歯を食いしばった。悔やんだって仕方がない。過去はもうどうする事も出来ない。 それなら、とにかく今は── 「……僕たちのできる事をしよう」 「……懐かしいわね。その言葉」 フランの言葉に、少しだけクレアは微笑んだ。 「そうかな?」 「泣いている私にいつも言っていたわ」
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