106人が本棚に入れています
本棚に追加
クレアがアマラ軍の訓練所に所属した直後、彼女はホームシックからか毎晩のように泣いていた。
唯一の家族──父であるアドミラと離れた生活。
それは幼いクレアにとって寂しいにも程があるものだったのだ。そんな中、同世代のフランに出会った。
年が近いこともあってすぐに打ち解けたが、何よりも彼の境遇を聞いて、自分と似ていると感じた。
それなのに、フランは過去よりも今を見ていた。
いつだって、「『約束』のために頑張るんだ」といって鍛錬に励んでいた。
フランと過ごすうちに、クレアの心境も変わっていった。
あぁ、前を見なくちゃ。
過去に縋っている暇なんてここには無いんだと、クレアは腹を括ることができたのだった。
「もしかしてリュクレーヌは、フランだから一人でも大丈夫だって送り出したのかもね」
「えぇ……そう、かなぁ?」
フランは首を傾げる。肯定はできなかった。
「まぁ、とにかく!やるしかないんだよね」
「そうね。私達で、パパを……たくさんの人達を護って、ファントムを捕まえましょう!」
ようやく、彼女は首を振り、強気な笑顔を見せつけた。
絶対にこの任務は成功させる、という固い意思を感じるような。
「うん!」
そうだ。自分達が、やるべき事をやらねば。とフランも同意した。
最初のコメントを投稿しよう!