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「何?」
「そっちにばかり構って」
ファントムの手元にちょうどラグビーボールほどのサイズの機械が握られていた。
じりじりと音を立てたそれは、アドミラの方へ投げられる。
直感的に分かった。あれは、爆弾であると。
「しまった!」
「終わりだ!ははははっ!」
宙を舞う爆弾はアドミラの方へと落ちるはずだった。
放物線を描き、これから落ちて行こうという瞬間、それは空中で爆破した。
「は……?」
「パパには、手を出させない」
硝煙から少女が現れファントムに機関銃を突き付けた。
こうなってしまえばもう逃げられないだろう。
勝負あった。
あとは、降参してくれればと思っていた。
「へぇ……君、やるね……でも」
人間の限界を嘲笑うように、銃口を握りしめた。
「所詮、人間なんて」
「……そんなものか?」
その刹那、ファントムの躰が背後から剣のようなもので貫かれる。
後ろに居る人物は──他の誰でもない、標的のアドミラだった。
「あ……う……」
うめき声と共にパキパキと音を立てて、その体は跡形もなく砕け散った。
そして一体の魂がふわりと宙へと浮かぶのをフランは確かに目の当たりにした。
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