7.バックムーン

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「……殺し、ちゃった」 ファントムを殺した。 即ち、ルーナエを殺してしまったという事ではないか。 あの空中へと昇った魂もルーナエのものではないか。 だとしたら、リュクレーヌに何と言おう。 こんなにもあっけなく弟が死んだなんて── 「でも、おかしいわよ……」 「……え?」 「ファントムは人間の体を借りているんでしょう?けど、この人はマスカみたいに壊れちゃったわ」 クレアの言うとおりだった。 ファントムはルーナエの躰に憑依している。 つまり、刺されて死ぬのならば、血を流し、死体が残るはずだ。 そして、壊れ去った亡骸はマスカが破壊された時のそれと同じ、これが意味する事は── 「こいつはファントムじゃなくて、ただのマスカ?」 マスカがファントムに化けただけの偽物だという事だ。 フラン達が指摘した内容に、アマラ軍はざわつく。 「影武者を使ったのか!」 「偽物のファントムだと!」 「だとしたら!本物は何処にいる!」 偽物のファントムによってアマラ軍は大混乱。 それもそのはず、アマラ軍は皆護衛任務をしている。 そんな中本物のファントムが別の場所を襲ったら? 半ばパニック状態の軍をよそに、フランは一人冷静だった。 「それは──」 言いかけた、その時、東の方角から鐘が鳴った。
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