7.バックムーン

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「やっぱり、来やがったな。ファントム」 「……それはこっちのセリフなんだけどね」 あぁ、まずい。契約者が居ては何もできないと気づき、リュクレーヌは「ほら、早く逃げろ!」と銀髪の女性を逃がした。 女性は一目散に逃げていく。 礼拝堂にはリュクレーヌとファントムの二人きりとなった。 仕切り直し、といわんばかりに、リュクレーヌは大きく息を吐く。 そして、ファントムの方へ思い切り人差し指を向けて皮肉を込めた様な笑顔を見せつけた。 いや、笑顔というよりは、むしろ嘲笑に近いものだった。 「せっかくアマラ軍を固めて契約にこぎつけようとしたのに、残念だったな!」 「ふぅん……知っていたんだ」 ファントムは、アドミラに殺人予告をした。 アマラ軍のトップを殺すとなれば、軍が総力を集め護衛に当たるだろう。 当然、そうなれば、他の場所への警備は手薄になる。 つまり、アマラ軍本部を除くロンドンの街はファントムにとって無法地帯のようなもの。 先月の満月の時と同じように、今宵も契約者を探していたわけだ。 だが、しかし、リュクレーヌには全てがお見通しだった。 いや、それ以前に── 「君は作戦を降りたんじゃなかったの?」 そう、リュクレーヌは作戦を降りたはずだった。 今も変わらず自分を利用しようとするアドミラが許せない。 尤もな動機で、依頼を断っていたはずだ。
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