7.バックムーン

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「けど、お前を封印できる奴が居るとしたら?」 「あ?……!? 」 突如、ファントムの背中に刺すような衝撃が襲う。 ナイフや剣で貫かれるようなものではなく、それよりもずっと微弱な──か細い針でちくりと刺されるような感覚。 そんな、弱い衝撃のはずなのに── 「なんだ、これ……?動け……ない」 刺された場所から、びりびりと痺れるような感覚。 それは蝕むように全身に広がり、ファントムの体の自由を奪っていく。 辛うじて、まだ動く首を回して後ろを向く。 一体、誰が、こんな事を。 そこには、逃げたはずの銀髪の女性──いや、その正体は、ブラーチだった。 「ブラーチ!ナイスー!」 「大したことはない。完全に油断しきっていたからな」 ブラーチは大理石の床をのたうち回るファントムを冷たく見下した。
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