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「司令!……いや、パパ……」
部下としてではなく一人の娘としてクレアは頭を下げる。
「私の大好きなパパでいて欲しいの。お願い」
これはエゴだ。
そんな事はクレアにも分かっていた。
だが、例えエゴだろうと、父親がした事にはけじめをつけて欲しかった。
娘の懇願に、深くため息をつきながらアドミラはリュクレーヌの方を向く。
そして、
「…………すまなかった」
深く頭を下げて陳謝した。
その様子を見て、リュクレーヌは目を見開く。
居心地の悪い、複雑な表情をして、しばらく黙り込んでいた。
沈黙が続く。
アドミラはそれでも頭を上げない。
耐えかねたリュクレーヌは、小さく口を開けた。
「……許す、わけないだろ」
「リュクレーヌ!」
フランが𠮟責するように叫ぶ。
だが、リュクレーヌは言葉を止めなかった。
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