7.バックムーン

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「アンタが俺にした事は許せない。過去はどうやっても変えられない」 これには一同困惑した。最高司令が頭を下げてまでもリュクレーヌは あくまでも過去については一切許すつもりはないと、ハッキリ言う。 だが、話は終わらない。リュクレーヌは「でも!」と続ける。 「いつまでも根に持っておくつもりもない。恨んだりはしない。過去は変えられないからな」 過去は変えられない。 どうする事も出来ない。リュクレーヌ自身が一番分かっている事だ。 弟が悪魔と契約し、躰を奪われた原因を作ったのは自分自身だったから。 「だからこそ、過去の仕打ちには囚われない。俺が今できる事をやるだけだ」 変えられない過去を、せめて変えられる未来で救う。 その為に、今、最善を尽くすことをリュクレーヌはここに誓った。 「だから、マスカやこいつの件で協力できることはしてやる。命令じゃなくて依頼ならいつでも受けてやるよ」 そのためには、相手など選ばない。 アドミラであろうとも、ファントムやマスカについて協力できる依頼は、引き受けるつもりだ。 それが、弟を救う未来に繋がるのなら、と思ったから。 「……そうか」 アドミラは、事情は分かった、と頷く。 「ただし、約束してくれ。マスカを利用しないと。俺みたいな奴がもう、居て欲しくないんだ……」 リュクレーヌは続けた。 一番重要な事だ。 もう二度とマスカに対し、不必要な実験的行為はしないで欲しいという要求。 彼らもまた、ファントムの被害者であり、心を奪われてしまった人間だったのだから──
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