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ファントムは、今こそルーナエの躰を借りているが、元は悪魔であり実体はない。
ルーナエごと祓おうとしたところで、実体のない悪魔の魂がこの世のどこかを彷徨って、また新たな人間に宿り、マスカを作るだろう。
今よりも更に強い魔力で、彼を永遠に封印する方法があって初めて人類は勝利をおさめるのだ。
尤も、その方法は誰にも分からないが。
「だけど、その方法を探す……しかないな」
そう、ないのなら探すなり、作るしかないのだった。
「けど、とりあえず、直近の危機は去ったって事だ!」
しかし、状況は上向きだ。
ファントムが捕まり、新規の契約は無い。
新たなマスカが街を蔓延る事は無い。
乖離前のマスカを見破る必要も一月後にはなくなるだろう。
「それはいいんだけど……つまり、また暇ってこと?」
フランも察しが良かった。
自分達の仕事が無くなるという事は分かっていた。
「ははっ。あぁ、そうだ旅行でもいこうか?」
「それも良いかもね」
それでも、とりあえず今は平凡な冗談を言う程に心が軽い。
この後ファントムの遺した置き土産が、更なる悲劇を生むことなど想像もしていてなかったから──
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