マスカレイド・ラビリンス

８．スタージェンムーン

「カジノ！やってみたかったんだよ。俺！」

「行った事ないの？」

「勿論。だから楽しみだ！」

「ちょうどよかったね！えっと……カジノはこの隣みたいだね。よかった近くて」

壁に貼ってある、乗客用の案内地図を眺めてフランは確認した。

それともう一つ確認しなければならないものがある。
フランは、念のため持って来ていたスチームパンク銃をしまっているポシェットに入れておいた財布を取り出した。

中には、旅という事もあり、普段よりも多めに用意されていた現金が入っている。

「先立つ者は……よし、あるな」

「よーし！勝つぞ！目指せ！億万長者！」

意気揚々とリュクレーヌはカジノへと急いだ。

「わぁ……広い！」

「おおおーーーー！すげーーーーっ！！」

赤い絨毯が敷き詰められたフロアは広々としていて、チップが一つ、二つと詰まれる音、白い球が黒と赤のルーレットを回る音、トランプの捲られる音が響いていた。