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どういう事?とフランが訊く。
「ルーレットが回っている間、躰のなかの歯車が変な回り方して気持ち悪かったんだ。何故か分かるか?」
「えぇ……分からないよ」
「磁石だよ」
「磁石?」
「そう。あのルーレットはインチキなからくりがあって、赤と黒に入るように磁石が切り替えられる仕組みになっていたんだよ」
つまり、あのルーレットには客が赤と言ったら鉄でてきた球が黒に吸い寄せられるように、客が黒と言ったらその逆になるように磁石が仕込まれていたのだ。
同じく鉄でできているリュクレーヌの体内の部品はこの磁石に反応をした。
「でも、リュクレーヌの体の不調とかじゃなくて?」
「他にも証拠はあるんだ。チップは木製だっただろ?」
「あ……そうか、チップが鉄でできていたならチップがルーレットに吸い寄せられてバレちゃうもんね」
色で切り替えが出来る磁石ならば、さらにレートの高い、指定の数字を掛けた場合でも効果がある。
客が絶対に負けるからくりだ。
しかし、逆に考えれば、赤か黒かでチップを賭けた場合、球がたどり着くはずの場所から一つだけずらせばいいのである。
「まったく。豪華客船だって言うのにセコイ事しやがって……」
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