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レストランは船の真ん中あたりのフロアにある。
シャンデリアのぶら下がる広々としたホールにはテーブルクロスを纏った丸テーブルがいくつもあった。
まるで、高級レストランだ。
「おい見ろよ、景色がすごく綺麗だ」
「本当だね。いい風景を見ながら食事を摂れるなんて最高だね」
それに加えて、オーシャンビュー。
外の景色を一望しながらのディナーが楽しめる。
今の時刻だと、夕焼けの橙色が空と海を覆いつくしていた。
夕食には普段よりも少しだけ早い時間という事もあって、二人はこれまた夕焼けを楽しめる特等席を選んだ。
椅子を引いて、席に着く。
「ん?」
と、テーブル上を見渡し、リュクレーヌは顔を歪ませた。
何か違和感でもあったように。
「どうしたの?」
「いや……おかしいな、ナイフが足りない」
「えっ……あ、本当だ」
「まぁ、食えるから問題ないか」
「そういう問題?まぁ、わざわざもらってくるのも面倒か……」
多少のトラブルがあれど、スタッフの手間を取らせるのは申し訳なかった。
タダで豪華客船に乗り、高級料理を食べているのだ。
これ以上の贅沢を言ってしまえば罰が当たってしまうのではないかとも思えた。
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