8.スタージェンムーン

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「おっ!来た来た!」 数分後、食事が運ばれる。 まず運ばれてきたのは、貝と野菜のタルタル仕立て。 つまりは前菜だ。 白いホタテ貝。 黄色いムール貝が彩りのあるパプリカやレタスと和えられている。 その上には小さな黒真珠が飾りのようにあしらわれていた。 「美味しい!」 「そうだな。これ、なんて言うんだっけ、フレンチ?」 「そうそう。フランス料理だよ。うわっ!キャビアだ!」 「キャビア?この黒い粒々か?」 「粒々って……高級品だよ。世界三大珍味の一つ。チョウザメの卵なんだ」 「ふぅん……しょっぱ!」 「塩漬けだからね。野菜と一緒に食べなよ。あぁ、美味しいなぁ……」 フランは料理に夢中だ。 と言っても食べる者の観点ではなく、作る者としての観点で楽しんでいる。 「いやぁ、今後のフランの料理が楽しみになるな」 「ちょっと、ハードル上げないでよ。キャビアは流石に手に入らないからね」 「ははっ、悪い悪い」 あっという間にデザートまで平らげてコース料理は終了した。 口元をナフキンで拭く頃には、足りなかったナイフの事など既に忘れていた。  
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