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「おっ!来た来た!」
数分後、食事が運ばれる。
まず運ばれてきたのは、貝と野菜のタルタル仕立て。
つまりは前菜だ。
白いホタテ貝。
黄色いムール貝が彩りのあるパプリカやレタスと和えられている。
その上には小さな黒真珠が飾りのようにあしらわれていた。
「美味しい!」
「そうだな。これ、なんて言うんだっけ、フレンチ?」
「そうそう。フランス料理だよ。うわっ!キャビアだ!」
「キャビア?この黒い粒々か?」
「粒々って……高級品だよ。世界三大珍味の一つ。チョウザメの卵なんだ」
「ふぅん……しょっぱ!」
「塩漬けだからね。野菜と一緒に食べなよ。あぁ、美味しいなぁ……」
フランは料理に夢中だ。
と言っても食べる者の観点ではなく、作る者としての観点で楽しんでいる。
「いやぁ、今後のフランの料理が楽しみになるな」
「ちょっと、ハードル上げないでよ。キャビアは流石に手に入らないからね」
「ははっ、悪い悪い」
あっという間にデザートまで平らげてコース料理は終了した。
口元をナフキンで拭く頃には、足りなかったナイフの事など既に忘れていた。
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