106人が本棚に入れています
本棚に追加
腹ごしらえも済ませて部屋へと向かう。
部屋はレストランと同じ階にあったため、そう距離は離れていなかった。
ドアプレートには134と刻まれている。
一方隣の部屋のドアには数字は刻まれておらず、代わりに丸いガラスの小窓のようなものがついていた。
スタッフ用の部屋だろうか。
フランがそんな事を考えこんでいるうちにリュクレーヌは一三四号室のカギを開けて、いそいそと部屋へと入る。
部屋へと足を踏み入れ、荷物を放り投げたリュクレーヌは早速と言わんばかりに白いベッドに思い切り飛び込んだ。
「ふーーーー!食った食った!」
夕食で膨らんだ腹をさすりながらごろごろとベッドに寝転びくつろいでいた。
一方、フランは荷物をクローゼットにしまうと、部屋中を見渡す。
深緑の絨毯と淡いコーラルの壁紙のコントラストが目を引く。
家具は暗めの茶色に塗られた木製で高級感がある。
リュクレーヌが寝転ぶ白いベッドは枕までふかふかで心地がよさそうだ。
「部屋もなかなか広くて豪華だね」
何よりも驚いたのは広さだ。
無理のある窮屈な形ではなく、ベッドが二つあっても広々とした空間に、更には風呂とトイレまで部屋内にある。
三ツ星の一流ホテルと比べても劣らない空間だった。
「ツインだからな」
「ツイン……あれ?もしかして僕しか誘えなかったのって」
「まぁ、そういう理由もあるな」
そう。ツイン部屋であれば同性である人間を誘う他ならなかった。
流石のリュクレーヌにもそれくらいのデリカシーはあった。
最初のコメントを投稿しよう!