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「なるほど……ナイフはちゃんと用意されていた、と」
「間違いありません。全部のテーブルにナイフはありました。この目で見ました!」
そう言って、マスカットのような緑色の丸い瞳が向けられる。
メシスは確かにディナータイムのテーブルに、ナイフがあったと証言する。
ここまで強く出られると嘘をついているようには見えなかった。
だとしたら──
「盗まれたのかもしれないね」
リュクレーヌの使うはずだったナイフが盗まれて犯行に使われていた可能性が高い。
彼らが夕食を楽しむ前に、テーブルからナイフをくすねて行った者が居る。
それはこの船の乗客でも、船員でもだれにでも可能だ。
「そうだな……それで、第一発見者は貴方ですか?」
「はい。ポール・アクリウス……副船長をしています。スケジュールのことで船長に確認を取りたくて、船長室に来たのですが……その時にはもう」
「僕らが悲鳴を聞いた時……さっきだね」
「しかし、僕たちがこの部屋に駆けつけた時には鍵がかかっていた。貴方はどうやってこの部屋に?」
「あぁ、この部屋にはドアが二つあるんです。あなた方が入ったのはお客様用のドアで、ほら、あっちの方に簡素ですが……船を操縦するクルーはこちらのドアから入るんです。」
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