8.スタージェンムーン

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「ふむ……では、マスターキーじゃないこの部屋の鍵は何処にあったのか」 「ん……鍵?僕みたかも」 また別の人物が、曖昧に呟いた。声の方向を向くとぼんやりと眠たそうな、少年が目に入る。 少年はリュクレーヌの視線に気づくと、ハッとして言葉を続けた。 「あっ、聞かれる前に言っておきます。シープ・ピロー。客室の清掃スタッフです」 「鍵を見たというのは?」 「えぇっと……さっき部屋の清掃をしていたら、そこに鍵があって……ほら、これです」 シープはポケットをごそごそと探って、金色の小さな鍵を取り出して、皆に見せた。 「少し借りてもいいですか?」 「えぇ、どうぞ」 リュクレーヌは鍵を受け取ると、それをフランに手渡す。 「フラン、この鍵が使えるか試して欲しい。どっちドアの鍵なのか分からないから、どっちも試して」 「うん」 フランはまず、壊れた客室向けのドアに向かう。 ドアノブと鍵は壊れていないため、確かめる事は可能だ。 鍵を差し込み、回す。 カチャリ、と音を立てて鍵は回った。 次に、反対側に位置する船員用のドアの鍵に差し込んだ。 こちらもすんなりと回った。
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