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「ふむ……では、マスターキーじゃないこの部屋の鍵は何処にあったのか」
「ん……鍵?僕みたかも」
また別の人物が、曖昧に呟いた。声の方向を向くとぼんやりと眠たそうな、少年が目に入る。
少年はリュクレーヌの視線に気づくと、ハッとして言葉を続けた。
「あっ、聞かれる前に言っておきます。シープ・ピロー。客室の清掃スタッフです」
「鍵を見たというのは?」
「えぇっと……さっき部屋の清掃をしていたら、そこに鍵があって……ほら、これです」
シープはポケットをごそごそと探って、金色の小さな鍵を取り出して、皆に見せた。
「少し借りてもいいですか?」
「えぇ、どうぞ」
リュクレーヌは鍵を受け取ると、それをフランに手渡す。
「フラン、この鍵が使えるか試して欲しい。どっちドアの鍵なのか分からないから、どっちも試して」
「うん」
フランはまず、壊れた客室向けのドアに向かう。
ドアノブと鍵は壊れていないため、確かめる事は可能だ。
鍵を差し込み、回す。
カチャリ、と音を立てて鍵は回った。
次に、反対側に位置する船員用のドアの鍵に差し込んだ。
こちらもすんなりと回った。
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