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「それにしてもよく揺れる船だな……ありゃいかん。あの副船長が舵を取っているのか?もっと、丁寧にしなきゃいかんだろう」
「あれ?アンキューラさん。貴方は航海の事はあまり詳しくないのでは?」
リュクレーヌが問いかけた時だった。
突然、バンッと大きなスパーク音を立てた後、廊下は真っ暗闇に包まれる。
「!?電気が」
「停電か!」
この状況はまずい。
どさくさに紛れてディニーが逃げてしまえばせっかく見張りを立てた意味がなくなってしまう。
「アンキューラさん!居ますか?居たら返事をしてください」
しかし、返事は無かった。
「返事が無いよ!どうしよう」
「逃げられたか?ちくしょう。明かりも何も持っていない」
成す術もないと、思った時だった。
復旧したのか、廊下の照明はチカチカと点灯し、再び光に包まれた。
「あ、点いた……!?」
「なっ!?」
返事が無いと思ったら、ディニーが倒れていた。
すぐさま二人は屈み、彼の顔を覗き込み、名前を呼ぶ。
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