8.スタージェンムーン

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「アンキューラさん!起きてください!」 しかしながら、やはり返事は無い。 それどころか、呼吸もしていない。 リュクレーヌが手首に指を当てると、脈もない。 停電前に会話をしていた人物は、れっきとした死体になっていた。 「死んでる……フラン、スタッフを呼んで来い。俺はこの死体を見張っておく」 「分かったよ」 見張りと称して、リュクレーヌは死体を観察した。 見たところ外傷もなく、苦しんで死んだ様子もない。 「死因は……なんだ?」 ただでさえ視界が暗闇に包まれた間に事件は起き、証拠すら残っていない。 これは、手ごわいぞ。とリュクレーヌは頭を抱えた。   間もなく、先ほど証言をしていたスタッフたちが駆けつけた。 「今度は、乗客が死んでいるだと!」 「えぇ、犯人だと疑っていたアンキューラさんが」 「そんな!この状況で殺せたのはこの探偵と助手だけじゃないか」 「僕たちは何もしていません」 ぴしゃりとリュクレーヌは言う。 すると、ポールはフランの方を指さした。 「どうだか、助手は銃を持っているじゃないか!」 「なっ!」
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