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「アンキューラさん!起きてください!」
しかしながら、やはり返事は無い。
それどころか、呼吸もしていない。
リュクレーヌが手首に指を当てると、脈もない。
停電前に会話をしていた人物は、れっきとした死体になっていた。
「死んでる……フラン、スタッフを呼んで来い。俺はこの死体を見張っておく」
「分かったよ」
見張りと称して、リュクレーヌは死体を観察した。
見たところ外傷もなく、苦しんで死んだ様子もない。
「死因は……なんだ?」
ただでさえ視界が暗闇に包まれた間に事件は起き、証拠すら残っていない。
これは、手ごわいぞ。とリュクレーヌは頭を抱えた。
間もなく、先ほど証言をしていたスタッフたちが駆けつけた。
「今度は、乗客が死んでいるだと!」
「えぇ、犯人だと疑っていたアンキューラさんが」
「そんな!この状況で殺せたのはこの探偵と助手だけじゃないか」
「僕たちは何もしていません」
ぴしゃりとリュクレーヌは言う。
すると、ポールはフランの方を指さした。
「どうだか、助手は銃を持っているじゃないか!」
「なっ!」
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