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◆
客室の広いベッドにて、フランは目を覚ます。
窓から差す日は海面にキラキラと揺られて眩しい。
フランがふいに隣のベッドの方に目をやると、リュクレーヌはまだ眠っていた。
珍しく、早く目が覚めたみたいだ。
──あぁ、よかった、何事もなく夜が明けた。
だが、安心したのも束の間だった。
「うわああああああああああっ!!!!」
腹の底から振り絞られた雄たけびのような声がした。
「!?」
「なんだなんだ!」
リュクレーヌも悲鳴を聞いて、大慌てでベッドから上体を起こす。
「分からないよ!」
「とにかく外に出るぞ!」
「うん!」
134号室のドアを開けると同時に隣の船長室のドアが開いた。
船長室から出てきたのは、副船長のポールだった。
「あっ!副船長さん!」
「先ほどの声は一体……」
「何があったのかは分かりません」
ポールは首を左右に振る。
「けど……先ほどの声はレストランの方からだと思います」
事情は分からない。
それでも、ポールには悲鳴の場所に心当たりがあった。
「何ですって?それは本当ですか?」
「えぇ!あの悲鳴の後すぐに、船長室の電話が鳴ったんです!」
「それで貴方は船長室から出てきたわけか……じゃあ、レストランへ急ぎましょう!」
三人は一緒にレストランの方へと向かった。
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