8.スタージェンムーン

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「ここだ!」 ドアプレートには132の文字が刻まれていた。 リュクレーヌ達の客室から見て、船長室とは反対側の隣に位置していた。 ドアノブは無抵抗で回った。 鍵は開いている。 室内に入ると、シープともう一人やや小太りの中年が居た。 それともう一人、床には黒い髪をきちんとセットした男が倒れこんでいた。 恐らく電話でシープが言っていた死体は彼の事だろう。 「あぁっ!探偵さん!こちらです!この部屋のグロリア・カルティス様が亡くなっていたんです。」 リュクレーヌ達を見るなり、シープは死体を指さす。 床に座り込み、リュクレーヌは間近で死体を見る。 「こっちは、外傷なし……か」 グロリアの死体はディニーと同じで外傷が無かった。 全く証拠が残っていない形で死んでいる。不可解だ。 だが、不可解だと思ったのはリュクレーヌだけでなく、シープも何やら違和感を覚え、リュクレーヌに対して「あのー」と話しかけた。 「こっちは……というのはどういう事ですか?」 「レストランでも死体が見つかったのです。メシスさんの……」 メシスの話をした途端、シープはさぁっと顔を青くした。 「えぇっ!そんな、メシスが……」 「上半身だけの、死体ですが……」 向こうの惨状はとても伝えらえられるものでは無かった。 とはいえ、こちらの死体もこれといって外傷も争った形跡もなく、手掛かりがない。 と、なれば、電話を寄越したシープにとりあえずは話を聞くことにした。
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