106人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここだ!」
ドアプレートには132の文字が刻まれていた。
リュクレーヌ達の客室から見て、船長室とは反対側の隣に位置していた。
ドアノブは無抵抗で回った。
鍵は開いている。
室内に入ると、シープともう一人やや小太りの中年が居た。
それともう一人、床には黒い髪をきちんとセットした男が倒れこんでいた。
恐らく電話でシープが言っていた死体は彼の事だろう。
「あぁっ!探偵さん!こちらです!この部屋のグロリア・カルティス様が亡くなっていたんです。」
リュクレーヌ達を見るなり、シープは死体を指さす。
床に座り込み、リュクレーヌは間近で死体を見る。
「こっちは、外傷なし……か」
グロリアの死体はディニーと同じで外傷が無かった。
全く証拠が残っていない形で死んでいる。不可解だ。
だが、不可解だと思ったのはリュクレーヌだけでなく、シープも何やら違和感を覚え、リュクレーヌに対して「あのー」と話しかけた。
「こっちは……というのはどういう事ですか?」
「レストランでも死体が見つかったのです。メシスさんの……」
メシスの話をした途端、シープはさぁっと顔を青くした。
「えぇっ!そんな、メシスが……」
「上半身だけの、死体ですが……」
向こうの惨状はとても伝えらえられるものでは無かった。
とはいえ、こちらの死体もこれといって外傷も争った形跡もなく、手掛かりがない。
と、なれば、電話を寄越したシープにとりあえずは話を聞くことにした。
最初のコメントを投稿しよう!