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◆
だが、無残にも事件は続く。
次の朝、131号室から死体が見つかる。
シープだ。
一見ベッドで眠っているように見えたが右半身は無くなっていた。
あどけない彼のむごたらしい状態に、現場へと駆けつけたリュクレーヌとフラン、そしてスタッフは顔を顰める。
「あぁ!一体誰なんだこんなに酷い事をするのは!もう許せない!」
流石に温和な性格のポールですら、仲間を何人も無残な形で殺されて怒り心頭のご様子だ。
だが、怒っていても何も始まらない。
「落ち着いてください」
「ふざけんな!落ち着いていられるか!」
リュクレーヌは窘めた。
しかし、逆効果で、火に油を注ぐ形になってしまう。
「大体、貴方達は探偵だというのにずっと事件が起きているじゃないか!役立たず!」
「仕方ないでしょ!僕たちは普通の探偵じゃないんだから!」
横暴な物言いにフランは反論した。すると、リュクレーヌはふっと一つ笑みを見せる。
「そう……この子の言う通り、普通の探偵じゃないんですよね。僕たち」
「何?」
「確かめたいことがあります。全ての死体を見せてください」
唐突な提案に、一同がざわつく。
既にみたはずの死体をどうして再び?と問いかけるように。
だが、普通ではない探偵には、何かしら意図があるのだろう。
ポールが恐る恐る口を開いた。
「死体は全て仮設の霊安室に置いています……」
「では、そこへ案内してください。フラン、お前はどうする?」
「僕は……行くよ!いつまでも死体苦手とか言ってはいられないし……」
「とか言って、一人になるのが怖いだけじゃないのか?」
「もう!からかわないでよ!」
図星だった。
実際にフランは一人で行動するのが大層恐ろしく、例え苦手な死体が安置されている場所であっても、リュクレーヌの行くところならば付いて行かざるを得ない状況だった。
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