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「言っただろ、俺達は普通の探偵じゃない。マスカ専門の探偵だ」
「じゃあ……この事件もマスカが関わっているって事?どうして?ファントムが拘束されて一ヶ月が経つのに!」
「乖離が起こるまでのタイムリミット──一ヶ月という期間はマスカになってからの換算だ。もしも一ヶ月以上前に仮面を買って、そこから使わずにいたら乖離は起こらない」
ファントムとの契約を既にしていたものが仮面を暫く使わずにいたら、マスカになって一ヶ月は経たない。つまり、まだ乖離は起きないというのだ。
「だが、既にこの船の中で誰かが誰かに憑依している。マスカが生まれているんだよ」
「じゃあ、死体がめちゃくちゃにされていたのも、マスカにされた分の死体がない事を誤魔化すためにしたって事?」
「そういう事。短時間で死体を滅茶苦茶にしたのは、既に憑依しているマスカだろうな」
あの霊安室にマスカが潜んでいたのならば、死体をバラバラにしてしまう事など容易く、朝飯前だろう。
だが──
「……ただ、決定的な証拠はまだない」
「まだ……って事は、これから掴むんだね!」
「分かっているじゃねぇか」
証拠を掴まなければならない。
二人は客室から出ることにした。
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