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◆
目を覚ましたのはひんやりとした暗闇の中だった。
「ん……」
腕は頑丈な手錠が鎖に繋がれている。
腕だけじゃない。
力づくで拘束を解こうとしても、びくともしない。
よく見ると、鎖には封印を意味する十字架がところどころにあしらわれていた。
「はぁ?なんだこれ……」
周りは闇に包まれ、視界に入る者は黒色しかない。
リュクレーヌにとって意味が分からないままだった。
その時、闇に包まれていた空間は、ぱあっとスポットライトが差し込み、一部、光で照らされる。
「レディースアンドジェントルマン!ようこそ、化けの皮オークションへ!」
ようやく、ここがどこなのか分かった。
一日目にショーをやっていたホールだ。
自分は鎖で縛られている上、巨大な鳥かごのような檻に閉じ込められている。
少し離れたところに、赤い布がかかった何かがある。
一人の男が、声を張り、客席の方へ語り掛けた。
その正体はリュクレーヌが犯人だと睨んでいたアルティムだった。
やはり、推理は当たっていた。
だが、罠にかかってしまい、拘束されたわけだが。
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