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リュクレーヌが一通り、推理を披露すると、マスカがパチパチと手を叩いた。
「素晴らしい!全てご名答です!見ましたか皆さん、これが名探偵の推理です!」
今まで自称でしか名探偵という肩書きを背負う事の無かったリュクレーヌは、いざ、ここまで褒めちぎられると調子狂う、と困惑した。
「あぁ、勿体ない。彼をマスカにして自我を失わせるともうこの推理を聞けなくなってしまう……」
「だったらさっさと解放しろよ」
マスカのわざとらしい、物言いにいら立ちを覚える。
だが、まだ手札は残されていた。
リュクレーヌは口角を不敵に上げて、反撃だと言った様子で切り出す。
「まぁ、優秀な名探偵には優秀な助手がいるもんだ。残念だったな、お前らの好きにはさせ──」
「それは、この子のことかな?」
言い終わる前に、マスカの言葉に遮られた。
マスカは、大がかりな赤いクロスを捲った。
「リュクレーヌ!!」
そこには、優秀な名探偵の優秀な助手が、リュクレーヌと同様にご丁寧に鎖で拘束された状態でいた。
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