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しかし──
「ばっかじゃねぇの?」
リュクレーヌがぴしゃりと言い放つ。
そのことばはまるで、ナイフのように冷たく、鋭いものだった。
「何?」
「お前は何も変わっていない。結局他人に搾取されるだけの人間のままだ」
マリノスが顔を顰めようとも構わずリュクレーヌは続けた。
「マスカはファントムが作り出した人間を殺す兵器。これは今や常識になっている。それでもお前は利用されることを選んだんだ」
「当たり前じゃないですか!私はファントム様のお役に立てるなら命など惜しくない!」
「だから馬鹿だって言ってんだよ。お前は。結局、お偉いさんにこき使われていたときと何も変わらねぇじゃねぇか。心も命も他人に利用されているんだぞ?」
「リュ……リュクレーヌ……!」
ずけずけといった物言いにフランが流石に制止する。
しかし、リュクレーヌの口が閉じられることは無い。
彼は更に挑発するように話続けた。
「結局お前はファントムに良いように利用されただけだ。アイツの事だからきっと今頃ほくそ笑んでいるよ。都合のいい馬鹿なお人形さんが手に入ったってな」
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