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「お前に何が分かる。ファントム様の、何が!」
「分かるさ。アイツとは少しばかり長い付き合いがある……いや、因縁と言うべきかな。少なくともお前よりは分かっているよ」
ファントムが、どういう存在か。
彼が、自分の弟の躰を乗っ取って、何をしているのか、少なくともリュクレーヌには分かっているから──
「アイツがこの地上で最低最悪の悪魔の商人だってな」
断言できる。
彼の行動は悪であると。
「黙れ!!!黙れ!!!!!許さんぞ!ファントム様の事を侮辱するのは!」
「別に……許さなくても結構。俺の意思は変わらな……いっ!?」
逆上したマリノスは、柵ごしに、木槌でリュクレーヌを殴った
「黙れ!その口を壊してもう二度と喋らなくしてやる!」
「はは……いいのか?大事な商品に傷を付けちゃって?」
自虐するように、しかし、煽るような言葉をリュクレーヌは投げかける。
そう、わざと挑発するように。
「お前はただ、金持ちで横暴な奴が憎いだけで、その憎しみだけで大勢の犠牲を払った、ただの大殺人者だ!ファントムに見事に利用されたな。間抜けだよ!自分の意思のない、人に従う事でしか動けないお人形さんが!」
リュクレーヌは挑発を止めない。
まるで何か意図があるように。
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