8.スタージェンムーン

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「お前に何が分かる。ファントム様の、何が!」 「分かるさ。アイツとは少しばかり長い付き合いがある……いや、因縁と言うべきかな。少なくともお前よりは分かっているよ」 ファントムが、どういう存在か。 彼が、自分の弟の躰を乗っ取って、何をしているのか、少なくともリュクレーヌには分かっているから── 「アイツがこの地上で最低最悪の悪魔の商人だってな」 断言できる。 彼の行動は悪であると。 「黙れ!!!黙れ!!!!!許さんぞ!ファントム様の事を侮辱するのは!」 「別に……許さなくても結構。俺の意思は変わらな……いっ!?」 逆上したマリノスは、柵ごしに、木槌でリュクレーヌを殴った 「黙れ!その口を壊してもう二度と喋らなくしてやる!」 「はは……いいのか?大事な商品に傷を付けちゃって?」 自虐するように、しかし、煽るような言葉をリュクレーヌは投げかける。 そう、わざと挑発するように。 「お前はただ、金持ちで横暴な奴が憎いだけで、その憎しみだけで大勢の犠牲を払った、ただの大殺人者だ!ファントムに見事に利用されたな。間抜けだよ!自分の意思のない、人に従う事でしか動けないお人形さんが!」 リュクレーヌは挑発を止めない。 まるで何か意図があるように。
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