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「そっか!そうだ!僕の銃は……!」
「ははっ……作戦成功。そういう事だ!」
マスケット銃が、檻の方を向く、放たれた銃弾は見事にリュクレーヌとフランを拘束する檻と鎖と手錠を木っ端微塵に砕いてしまった。
「これで、自由の身って訳だな。さて、覚悟しろよ?」
リュクレーヌは、にっ、と白い歯を見せて、腕を鳴らす。
ところが、敵も余裕だ。
「そんな事が言えた立場か?」
「何?」
パチンと指が鳴る。
リュクレーヌ達の背後には大量のマスカが居た。
背後だけではない、四方を取り囲まれている。百──いや、三百体近くいる。
おそらく、リュクレーヌ達以外の乗客のほとんどがマスカだったのだろう。
フランのマスケット銃をもっても、この量は捌ききれるか分からない。
「……この量は……フラン、どうだ?太刀打ちできるか?」
「いや、無理だよ!流石に!」
「だよな」
リュクレーヌは笑う。
フランには理解できなかったこの状況で嗤える理由が。
「でも、大丈夫だ」
そう言って、ホールの入場口にあたるドアの方を一瞥すると、安堵したような表情を見せた。
そう、ドアは開いており光が差していた。
「!?」
フランは大層驚いた、ドアの向こうに居た人物の事を知っていたから──そう、その人物はアマラ軍ガーディアン司令アドミラだった。
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