106人が本棚に入れています
本棚に追加
ところが、その時だった。
ドンドン!とまるで大太鼓を叩いたように、強いノックがドアを鳴らす。
「誰だろう?」
「えらく、乱暴な訪問だな」
これほど強い音を立てて訪れる客など初めてだった。
「どうしよう……泥棒だったら」
フランは一抹の不安を覚え、怯えた。
だが、リュクレーヌはそんなフランに「何を言っているんだ」と鼻を鳴らした。
「そんな訳無いだろ。泥棒が玄関から入ってくるか?」
「あぁ、そっか」
「まぁ、泥棒じゃなくて強盗ならあり得るけどな」
「ダメじゃん!」
白昼堂々、それも玄関から来訪の暴漢であれば泥棒ではなく強盗だろう。
だがフランにとっての問題は細かい言葉の言い回しではないのだ。
それでもリュクレーヌは、ボリュームを増すノックが鳴るドアの方へ向かって行った。
「大丈夫だって。はーい、今出まーす」
「ちょっと!」
最初のコメントを投稿しよう!