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「ただ、根拠に基づいた推理の先に行きついた答えを出したうえでマスカを見破っているのです」
リュクレーヌの言葉にうんうん、とフランも頷く。
マスカを見破る彼らの仕事は、証拠や動機などの材料を使い、推理という調理をするようなものだ。
今回の依頼は、その材料がない。ただの感情論で推理をしろなど、横暴にも程がある。
リュクレーヌは呆れ顔だった。
「話にならない。お引き取りください」
「ですが!」
リジュはそれでも食い下がる。
リュクレーヌは後ろの群衆を嫌悪の眼差しで睨みつけると頭を抱えてため息を吐く。
今度はフランの方に視線を移して彼の所持するガンホルダーの方を指さした。
「あぁ、もう、しつこいな……フラン」
「何?」
「銃を構えろ」
「え?」
今度はリュクレーヌの言う事が少し分からなかった。
「いいから」
「……こう?」
言われるがままフランは躊躇いながらも銃を構えた。
銃口は誰かに向けるわけでもなく、あくまで群衆に銃を見せるような状態だ。
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