9.ハーベストムーン

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◆   デスクに広げられた新聞を二人が眺めていると、今度は穏やかなノックが二回、玄関のドアから響く。 きっと先ほどの客とは違うだろう。フランは玄関の方へと向かい、ドアを開いた。 すると目の前に現れたのはよく見た顔だった。 「ブラーチ、とクレア?」 だが、いつもの二人とどこか違う。ブラーチが来ているはずの白衣を、クレアがアマラ軍の軍服の上に羽織っていた。 「クレア、どうして白衣を羽織っているの?」 「アマラ軍を崇拝する輩がしつこくてな」 「なるほど、身元を隠す為ってわけか」 「アマラ軍を……崇拝?」 フランは小首を傾げる。アマラ軍が崇拝の対象となっている、という状況が理解できなかった。 すると、ブラーチは淡々と説明を始めた。
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