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「まぁまぁ、落ち着いて」
「クレアの言っている事も一理ある。新聞もこの通り、アマラ軍への同情と併せて国の対応を批判している」
怒り心頭のクレアを宥めるフランに、リュクレーヌがもう一度新聞の記事を見せた。
アマラ軍の同情は新聞社の都合のいいように利用されていた。
「私達は……誰かの武器になるために戦っているんじゃない」
「不安が広がると、誰かのせいにして安心したくなるもんだよな、人間は」
つくづく感じていた。人間の心には不安や怒りといった負の感情ばかりが広がりやすいものだと。
事実、黒く濁った感情がこの街を覆いつくしていた。事務所への訪問者やアマラ軍の崇拝者がその証拠だ。マスカやファントムというわかりやすい敵がありながらもどうすることもできない。
だからこそ、国家権力だろうと、自称名探偵だろうととにかく責任転嫁をして、八つ当たりをする事しかできないのだ。
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