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市場へと着く。いつも買い物に行く場所だけあってあっという間に到着した。
青果店の奥の方へと向かい、店の人に話をする事にした。
「すいません」
「あぁ、リュクレーヌさん、フランさん。今日は何を買いに来たんだい?」
「玉ねぎとピクルスと……って、そうじゃなかった」
「いいよ、ついでに買い物もしとけ。こっちの仕事は俺がしておく」
「仕事?」
「実は、お話を伺いたいのです」
「あぁ、また何か事件かい?いいよ。俺に話せることがあったら教えてやる」
いつも行く店だ。店主も二つ返事で了解してくれた。
「マスカについて伺いたいのですが」
「マスカ?あぁ……悪魔が作った殺人マシンなんだろ」
「えぇ、その通りです」
「怖いったらありゃしないね」
「どうして?」
「え?」
リュクレーヌが疑問をぶつけると、店主は目を丸くした。
マスカを怖がる理由。そんなもの、火を見るよりも明らかなのに。
「どうして怖いのですか?実際にマスカに会った事あります?」
「ちょっと!リュクレーヌ!」
買い物をしようとしていたフランも思わずリュクレーヌの言葉を疑う。
「何を言っているんだ!怖いに決まって居るだろ!」
「ですから、会ったことあるのかなと思ったんです。マスカに」
「会った事あったなら今私はここに居ないだろうな」
「会った事のないマスカを恐れるのですか?」
「奴らは人間のふりをして近づくんだろ!知らない間に標的にされているかもしれないんだ!」
確かに、マスカは人間の皮を被り、人間に紛れ生活している。一ヶ月だけは。
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