9.ハーベストムーン

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市場へと着く。いつも買い物に行く場所だけあってあっという間に到着した。 青果店の奥の方へと向かい、店の人に話をする事にした。 「すいません」 「あぁ、リュクレーヌさん、フランさん。今日は何を買いに来たんだい?」 「玉ねぎとピクルスと……って、そうじゃなかった」 「いいよ、ついでに買い物もしとけ。こっちの仕事は俺がしておく」 「仕事?」 「実は、お話を伺いたいのです」 「あぁ、また何か事件かい?いいよ。俺に話せることがあったら教えてやる」 いつも行く店だ。店主も二つ返事で了解してくれた。 「マスカについて伺いたいのですが」 「マスカ?あぁ……悪魔が作った殺人マシンなんだろ」 「えぇ、その通りです」 「怖いったらありゃしないね」 「どうして?」 「え?」 リュクレーヌが疑問をぶつけると、店主は目を丸くした。 マスカを怖がる理由。そんなもの、火を見るよりも明らかなのに。 「どうして怖いのですか?実際にマスカに会った事あります?」 「ちょっと!リュクレーヌ!」 買い物をしようとしていたフランも思わずリュクレーヌの言葉を疑う。 「何を言っているんだ!怖いに決まって居るだろ!」 「ですから、会ったことあるのかなと思ったんです。マスカに」 「会った事あったなら今私はここに居ないだろうな」 「会った事のないマスカを恐れるのですか?」 「奴らは人間のふりをして近づくんだろ!知らない間に標的にされているかもしれないんだ!」 確かに、マスカは人間の皮を被り、人間に紛れ生活している。一ヶ月だけは。
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