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「マスカに会ったことありますか?」
「無いですよ!恐ろしい!」
次に向かったのは菓子屋だった。リュクレーヌがよく、クッキーを買っていた店だ。
「会ったこと無いのに、何故恐れるんですか?」
「だって、毎日のように人が襲われているじゃないですか!ほら!」
クッキー店の店主は、テーブルに新聞を広げて、叩きつけるように記事に指を差した。
『マスカ、書店を襲う』見出しには大きく書かれていた。
リュクレーヌは「なるほど」と一度頷く。
「マスカによる死人は出てないんですね」
「えぇ、これもアマラ軍の皆さんが頑張っているからです」
「頑張っている?」
「死者が出る前に、各地に駆け付けてくれるのです!」
通常、マスカに襲われたのならば最期。帰らぬ人となるだろう。
だが、アマラ軍は現場に現れた。偶然にも、付近でパトロール中だったという。
「へぇ、偶然とは言えお手柄だね」
「アマラ軍は優秀だというのに、警察は何もしない……信じられないですよ!」
今度は警察へ対する怒りを顕にする。街の治安を取り締まるのは本来、警察の役目だろう、と責めるように。記事にも、同様に書かれていた。
「なるほどな……」
もう一度納得するように、リュクレーヌは顎を触る。
もう、十分だというと、礼を言い、店から退出した。
「マスカに会った事のない人ばかりだね」
「そうだな……じゃあ、実際にマスカの事件が起きていた場所に行くか」
「あぁ、本屋さんに行くわけだね」
「早速行くぞ」
実際にマスカにあった者からの話を聞くために、二人は事件現場となった書店へと向かった。
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